先日、当社多言語コールセンターの各国オペレーターにアンケートをし、日本食人気ランキングデータを分析していたところ、興味深い結果が上がってきました。

2024年の訪日外国人旅行消費額が8兆1,257億円と過去最高を更新する中、各国・地域の食文化的背景が日本食選択にどのような影響を与えているかを考察してみたいと思います。
🍣 寿司の圧倒的な人気と地域別の特色
今回分析を見ると、ほぼ全てのスタッフで「寿司」が1位にランクインしており、その人気の高さが改めて確認できます。農林中央金庫の調査でも、訪日外国人の68.3%が滞在中に寿司を食べ、「最もおいしかった料理」でも19.4%が寿司を選んでいることからも、この結果は妥当といえるでしょう。
一方、フィリピンでは1位が「ラーメン」となっているのも注目すべき点です。
これは日本のラーメン文化の浸透を物語っており、現地の日本食レストランでラーメンの人気が高いことと関連していると思われます。
🍜 インバウンド消費における飲食費の重要性
2024年の訪日外国人旅行消費額を費目別に見ると、宿泊費が33.6%、買物代が29.5%に次いで、飲食費が21.5%を占めています。
これは約1兆7,500億円に相当する巨大な市場規模です。観光・レジャー目的の旅行客の1人1泊当たり飲食費は6,689円となっており、ランチとディナー合わせて約7,000円という平均予算は、高価格帯店舗に偏っているわけではないことが分かります。
この数字は、外国人旅行者が日本滞在中の食事に相当な関心と予算を割いていることを示しており、各地域の嗜好に合わせた料理提供が重要であることを裏付けています。
🍚 地域別の食文化的背景と戦略的考察
ランキングを詳しく見ると、ベトナム圏では2位に「刺身」、3位に「ラーメン」がランクインしており、これは地理的・文化的近さが影響していると考えられます。
南アジア系の言語圏(ネパール語圏、ヒンディー語圏、ウルドゥー語圏)では、天ぷらや焼き肉といった調理法に特徴のある料理が上位にランクインしています。
これは香辛料を多用する食文化圏において、シンプルながら技巧的な日本の調理法が新鮮に映っているのかもしれません。
💡 今後のインバウンド戦略への示唆
2024年の訪日外国人数は3,686万9,900人と過去最多を更新し、国籍・地域別では中国、台湾、韓国、米国、香港の順で旅行消費額が多くなっています。
こうした中で、各地域の食文化的嗜好を理解した料理提供は、訪日外国人の満足度向上と消費拡大の両面で重要な意味を持ちます。
日本総合研究所の分析によると、食のインバウンド需要を2050年にかけて2.3兆円に増やすことができれば、人口減少に伴う外食市場の縮小を補えるとされています。
この目標達成のためには、単に日本食を提供するだけでなく、各国・地域の嗜好に合わせたカスタマイズや、新しい料理体験の創出が不可欠でしょう。
今回のデータ分析を通じて、改めて「食」がインバウンド産業における重要な要素であることを実感しました。
成田空港周辺での仕事帰りに立ち寄る飲食店でも、最近は多言語メニューや外国人向けサービスが充実してきており、こうした地道な取り組みの積み重ねが、日本の食文化の魅力を世界に発信する基盤となっているのだと思います。
株式会社インジェスター 李英門