ある事業の確定検査の準備が佳境である。
年に一度のこの作業は、訳あって私にしかできない。
特別なスキルが必要なわけではないのですが、
事情があり、他には任せられないのです。
その合間を縫って、
今日は日本動画協会主催の「日本アニメ産業の持続的発展に向けたシンポジウム」に参加しました。

会場は、衆議院第一議員会館。

入館するのはもちろん初めてで、
こんな場所でシンポジウムが開かれるのかと、
少し不思議な気持ちになりましたが、理由はすぐに分かりました。

冒頭の開会挨拶に立たれたのは、
岸田文雄 元首相(衆議院議員)。

驚きました。
政府関係者も多く参加しており、
「官民一体で日本のアニメ産業を伸ばしていこう」という空気が会場全体に漂っていました。
当社は日本動画協会の準会員で、
主にローカライズのメンバーが関わっています。
担当から「行きますか?」と聞かれたので、
「一緒に行く?」と聞き返したところ、
「月初なので忙しくて行けません」との返事。
「じゃあ、代わりに行くね」と伝え、
私が参加することにしました。
私も決して暇ではないのですが……
経営者は少し“暇そう”に見えているくらいのほうが、
社内の風通しは良いのかもしれません。
シンポジウムのテーマは、日本アニメ産業の成長戦略、
とくに「人材育成」と「職能認定制度」、そして海外展開でした。
中でも印象的だったのは、
制作会社まで落ちてくるお金の少なさ、
人材育成の難しさ、現場クリエイターの報酬水準の低さが、
率直に語られていたことです。
日本のアニメ市場は2033年には20兆円を目指しています。
現在は、6兆円を超える規模がある一方で、
多くの作品が収支的には厳しく、
制作現場のクリエイターは全産業平均よりかなり低い賃金で働いているというデータも紹介されました。
制作会社の収益力が弱く、
製作委員会からの制作費が人件費を十分にカバーしていない構造が、
低賃金・長時間労働・人材流出につながっているとの指摘もありました。
思い返せば、息子の同級生がアニメ専門学校を卒業して制作会社に入った際、
その給与を聞いて驚いたことがあります。
今回の話を聞き、あのとき感じた違和感の裏側にある「構造」が少し見えた気がしました。
儲からない、
食べていきにくい業界には、若い人はなかなか集まりません。
将来の担い手を増やすためにも、
「好き」だけでは続かない条件面の改善が必要だと、改めて感じました。
私は残念ながら、
第1部が終わったところで会社に戻りましたが、
時間が許せば最後まで聞いていたかったです。
自分の専門外の業界シンポジウムに参加するのも、なかなか良いものですね。
上手く言葉にはできませんが、「行って良かった」と素直に思いました。
「暇」そうに見える私を誘ってくれたTさん、ありがとう。
次は、ぜひ一緒に行きましょう。

李 英門