帰りの電車での出来事です。
私は七人掛けの座席の、
一番端に座っていました。
始発駅でしたが、
帰宅ラッシュですぐに席は埋まり、
立っている人も多い車内です。
この日も打ち合わせが多く、
このあと途中下車して、
別のミーティングに参加しなければなりません。
本当はそのまま自宅まで帰って、
落ち着いて参加したいのですが、
移動時間が間に合わない。
外回りが多いので、
こういうことはよくあります。
どこの駅で降りるかも決めて、
少し疲れもあって、
うとうとしていたちょうどその時。
頭上に衝撃が走りました。
どん!
何かが落ちてきた。
しかも、
そのまま頭の上に乗っている。
一瞬、何が起きたのかわかりません。
すると、立っていた方がすかさず、
「すみません!」
どうやら網棚から、
その方のバッグが落ちてきたようです。
布製のボストンバッグ。
幸い、大きいわりには軽く、
中身もそれほど入っていなかったのでしょう。
私の頭に、
見事にフィットしていました。

一応、私は被害者です。
「イテッ!」
と言いながらも、
なぜか腹は立たない。
むしろ、
自分の頭の上にバッグが乗っている状況が、
少しおかしくなってきました。
その方も本当に申し訳なかったのでしょう。
「本当にごめんなさい!」
と何度も謝ってくださいました。
そこで私も、
何か気の利いたことを返さなければと思い、
つい聞いてしまいました。
「しかし、どうやって落ちたのですか?」
網棚は、
頭上にしっかりとカバーがあります。
普通に落ちたら、
床に落ちるはずです。
私の脳天に、
すっぽり乗るとは考えにくい。
すると、その方が一言。
「滑りました」
取ろうとして、
バッグが滑って、
私の脳天に着地したということですね。
なるほど。
周囲の皆さんは、
特に反応なし。
誰も笑わない。
誰も驚かない。
平和な時間です。
おかげで、
すっかり目が覚めました。
そろそろ途中下車して、
ミーティングに参加します。
どうせなら、
頭の上にバッグを乗せたまま
参加しでも良かったかも。
株式会社インジェスター 李英門